サンセベリア(サンスベリア)は、「午後は○○おもいッきりテレビ」内で、みのもんた氏により「サンスベリアは空気清浄効果が高く、夜間にも酸素を出す植物」として紹介され、各種メディアでも大々的に取り上げられたのをきっかけに、2000年頃に一大ブームとなった観葉植物です。現在も、「乾燥に強く丈夫でインテリア性の高い初心者向け観葉植物」として根強い人気のある植物です。
ここでは、そんなサンセベリアを育てるうえでのコツや手入れの方法を紹介します。
サンセベリアとサンスベリアってどっちが正解?
一般的な認知度はサンスベリアが優勢
「サンセベリア」と「サンスベリア」という二つの呼び名はどちらも広く知られていると思います。このふたつはどちらも同じ植物の呼び方で、もともとは学名である「Sansevieria」の読み方の違いによるものです。どちらも間違いというわけではありませんが、より正確には「サンセベリア」です。とはいえ、サンスベリアも一般的に用いられており、Google検索やSNS上ではこちらのほうが検索ボリュームは多くなっています。
サンセベリア(サンスベリア)という名前の由来
サンセベリア(Sansevieria)という学名は、18世紀後半の植物学者 Carl Peter Thunberg (カール・ぺーテル・ツンベリ)のパトロンであったイタリアの貴族 Raimondo di Sangro, Principe di San Severo(レイモンド・ディ・サングロ, サン・セヴェーロ公爵)にちなんで名付けられました。(別の植物学者Vincenzo Petagna(ヴィンセンツォ・ぺターニャ)のパトロンであった Pietro Antonio Sanseverino (ピエトロ・アントニオ・サンセヴェリーノ)から名付けられた「Sanseverinia」のタイプミスだという説もあります。)
なお、科学の進歩によりDNA解析が進んだことで2013年以降、サンセベリア(Sansevieria)属はなくなりドラセナ(Dracaena)属に統合されました。ですが、サンセベリア(Sansevieria)という名は異名(シノニム)という形で残り、日本だけでなく世界中で広く使われ続けています。
サンセベリア(サンスベリア)ってどんな植物?

サンセベリアと言われて皆さんがまず想像されるのは上の写真のような姿だと思います。ですが、サンセベリアは数百種(原種だけで70種程度)もあるコレクション性の豊かな植物です。そんなサンセベリアがどんな植物なのかについて、見ていきます。
サンセベリア(サンスベリア)の基本情報
植物学的な分類
| 目 | 科 | 亜科 | 属 |
|---|---|---|---|
| キジカクシ目 | キジカクシ科 | スズラン亜科 | ドラセナ属 |
| Asparagales | Asparagaceae | Nolinoideae | Dracaene |
サンセベリアの分類は2013年以降上記の表のようになっています。それ以前は、サンセベリア(Sansevieria)属として独立していましたが、DNA解析に基づいた分類によりサンセベリア属は学術的には消滅しています。(異名として現在でも世界中で広く使用されてはいます。)
原産地
サンセベリアの原産地は、
- 中央~東アフリカ(サハラ以南)
- 中東の一部(アラビア半島)
- 南アジアの一部
といった地域の『高温・乾燥地帯』です。南アジアについては、本来の自生地ではありませんが、野生化しているものが現在は多く存在しています。
大きさ
サンセベリアの大きさは、種によって様々でおおよそ次の表のように分けることができます。園芸店やインターネットで流通しているもののサイズは10㎝~80㎝程度のものが多い印象です。
| 小型種 | 中型種 | 大型種 | 超大型種 |
| 5~20㎝ | 20~60㎝ | 60~120㎝ | ~200㎝ |
葉色と葉の形状
サンセベリアの葉は基本的に緑色です。中でも縞状あるいは雲状に銀白色の模様の入っているパターンが最も一般的といえます。また、黄色や白色の斑(ふ)が入る品種も多く存在します。
葉の形状としては、剣状に立ち上がるものや円筒状、舟状のものなどが存在しています。
サンセベリアの代表的な品種について知りたいという人は、こちらの記事を確認してみてください。
花言葉と風水的効果
サンセベリアの花言葉は「永久(えいきゅう/とこしえ)」「不滅」です。「長寿命である」「厳しい環境に耐える」ということから「幸せや商売が強く長く続く」と、贈り物としてもいい意味で使われます。
また、風水的にも「金運上昇」「邪気払い」などの良い効果をもたらすとされています。風水に興味のない人もサンセベリアが縁起の良い植物であるということは知っておくと良いと思います。
サンセベリア(サンスベリア)の特徴
乾燥に強い
サンセベリアは、熱帯の乾燥地帯が原産です。そのため、乾燥にはめっぽう強く、夏場でも1ヶ月水やりをしなくても枯れる心配はほとんどありません。逆に、低温と多湿には強くないので、水のやりすぎには注意が必要です。
耐陰性が高い
サンセベリアは、大きな樹の下や岩陰などでも自生しており、日光が少ない状況にも耐えうる耐陰性を持っています。そのため、室内の日陰でも枯れずに育ってくれます。とはいえ、サンセベリアは日光が大好きです。日陰では、「比較的元気に耐えてくれている」状態だと考えるほうがより正確です。ずっと日陰に置いておくと葉がひょろひょろと長く伸びる「徒長」が起こったり、葉がしおれたりという症状が現れます。普段日陰に置いておく場合は、定期的に日光浴をさせてあげてください。
寒さには弱い
サンセベリアは熱帯の乾燥地帯が原産地です。そのため、暑さや乾燥には強い一方で、寒さには強くありません。最低気温が10℃を下回ると、寒さに耐えるために休眠状態に入り成長を止めてしまいます。この状態で水を与えてしまうと一気に腐ってしまうので、水やりは控えるようにしましょう。
とはいえ、休眠状態に入っていても「しっかり乾燥させて暗めに管理」しておけば、暖かくなるまでじっと耐えてくれます。実際、サンセベリアの大ブームが起きた2000年頃には「冬は鉢から抜いて新聞紙でくるみ、部屋の中で眠らせておく」というのが冬越しの常識だったくらいです。
空気清浄効果が期待できる
2000年頃に、サンセベリアブームが起きるきっかけとなったのが「空気清浄効果」です。1989年にNASAが「ベンゼン、ホルムアルデヒド、トリクロロエチレンなどの揮発性物質(VOC)を吸収する効果がある植物」であると発表(出典:https://ntrs.nasa.gov/citations/19930073077)しています。VOCはシックハウス症候群の原因とされる物質で、これを吸収してくれることから空気清浄機のような役割を果たしてくれます。とはいえ、1鉢、2鉢ていどでは実用的な効果を得るのは難しいので、期待しすぎるのはNGです。
また、サンセベリアは一般的な植物の光合成とは異なり夜間に空気中の二酸化炭素を吸い込む「CAM型」という方式で光合成をおこないます。寝室に置くことで、より快適な睡眠をとることができるかもしれません。(こちらも期待しすぎるのはNGですよ。)
サンセベリア(サンスベリア)の基本的な管理方法
サンセベリアは、乾燥にも薄暗い場所にも耐えてくれるとても育てやすい観葉植物です。そのため、あまり手のかからない管理しやすい植物といえます。ここでは、サンセベリアを元気に長く育てるためのポイントを紹介していきます。

日本は北海道から沖縄まで、南北に長い国土になっています。皆さんのお住まいの地域によっては、これから紹介する内容がそのまま当てはまるとは限りません。あくまでも目安として参考にしていただき、「自分の育てる環境」に合わせて調整していってください。
斑入り種(variegata)の管理上の注意点を知りたい人は、こちらを参考にしてみてください。
置き場所について
サンセベリアは、耐陰性が高く、室内の日陰でもしばらくは枯れることなく耐えてくれます。ですが、本来は日光が大好きな植物です。室内で管理する場合、できるだけ明るい場所においてあげると失敗のリスクは下がります。置き場所としては東向き又は南向きの窓辺が理想的です。朝からお昼過ぎくらいまでの時間帯は、窓から入る日差しを直接浴びさせてあげるくらいで問題ありません。
普段は日陰で管理するという場合には、定期的に日光浴をさせてあげることが大切です。ただし、日陰で過ごす時間が長いと「強い光への対応力が落ちてしまう」ので注意が必要です。日光浴のときには「東向きの窓辺」や「南向きのレースカーテン越し」の柔らかい光を2~3時間浴びさせてあげるようにしましょう。週に1回以上の日光浴をさせてあげることで、ひょろひょろとしたか弱い姿になるのを防ぐことができます。
西日は、赤色や赤外線といった光を多く含みます。日中の暑さが残る時間帯に、このような強い光に当てると「葉焼け」などのトラブルの原因となります。西向きの窓しかない場合には、ミラー加工されたレースカーテンで光を和らげるようにしましょう。
低温と高湿度に注意
サンセベリアは乾燥・高温に非常に強い植物ですが、「温かいところが好き=寒さには弱い」植物です。元気な姿を維持していくには、15℃以上の温度をキープできるのが理想的です。室内であれば、冬場でも10℃を下回ることは少ないと思いますが、窓際などは極端な低温になっている可能性があるので要注意です。冬場は窓から少し離してあげるようにしてください。
また、サンセベリアは「じめじめした空気が停滞する」ことを嫌います。風通しの良い環境を準備できると安心です。日中に風を当てるのが難しい場合は、「朝の出かける前に30分だけ窓を開ける」「外出時にも換気扇を回しておく」などでも問題ないので、毎日空気を動かすようにしてください。サーキュレーターで風を作ってあげることができれば理想的です。
土は水はけ重視が理想
サンセベリアは環境への適応力も高い観葉植物です。そのため、どのような用土を使用しても「うまく管理できれば」元気に育てることができます。とはいえ、室内で安全に管理するには「よりサンセベリアの好む土」を使ってあげるのが確実です。
では、サンセベリアが好むような土とはどんなものでしょうか?
それは、「水はけのよい乾きやすい土」です。サンセベリアは乾燥にはめっぽう強いですが、「ずっとじめじめしている」のは苦手としています。そのため、水はけが悪い土だと、根腐れを起こす可能性が非常に高くなります。
室内向けの観葉植物用の土や多肉植物用の土が手軽でおすすめですが、粒状のもので構成されている(無機質系)土を選んでください。どれを選んでいいかわからないという場合には、「サンセベリア専用」という土を選ぶとよいと思います。
自分で配合したいという場合には、『軽石(小粒):硬質赤玉土(小粒):硬質鹿沼土(小粒)=3:1:1』などがおすすめです。環境にもよりますが、水やりなどのお世話が面倒と感じなければ『軽石のみ』での植え付けもおすすめで、我が家では軽石単体に植えています。
水やりは控えめに
サンセベリアは乾燥にとても強いため、基本的にそこまで多くの水を必要とはしません。水のあげすぎのほうがトラブルの原因となります。水やり頻度は少なめを意識しましょう。ただし、「春から秋は1週間に1回、冬は月に1回」というような決め方はトラブルにつながりかねないので注意が必要です。最初は面倒に感じるかもしれませんが、「土の様子を確認して水やりをする」ようにしてみてください。不安な方は、以下の季節ごとの目安を参考にしてみてください。
また、水をあげるときは「鉢底から水がしたたり落ちるようにたっぷりあげる」ようにしてください。表面だけにちょろっと水をかけるだけだと「土の中まで水がいきわたっていない」可能性があります。
- 春4~5月
日長が長くなるのに合わせて、最低気温も10℃を下回らなくなり、暖房なしの環境でも植物が休眠から目覚めてきます。あくまでも乾燥気味を意識し、「土の表面が乾いたら3~5日待って水やりをする」ようにてください。
この時期我が家では、週1回の水やり(毎週土曜日)です。『水やり翌日に表面がほんのり湿っている程度→水やり3日目には用土表面が乾燥→さらに3日待って土曜日に水やり』というサイクルになっています。
- 夏6~8月
最低気温が安定して15℃を超えるサンセベリアの生育期です。この時期は活発に水を消費するので、やや多めに水やりをします。目安は「土の表面が乾いたら2~3日待って水やりをする」です。ただし、梅雨時期でも除湿をしないという方は「部屋の湿度が70%以上になる時期は4~5月と同じ管理でよい」と思ってください。
また、水やりの時間帯にも注意が必要です。この時期は日中の気温や日差しが強くなるため、エアコンを使用していたとしても窓辺の室温は40℃を超えることもあります。このような時間に水を与えてしまうと、根っこが茹で上がってしまうので絶対に避けてください。水やりの時間帯は「朝の9:00までか、夕方16:00以降」にしましょう。
この時期我が家では週2回(毎週水曜日と土曜日)の水やりです。『水やり翌日には用土表面がほぼ乾燥→1~2日待って水やり』というサイクルになっています。
- 秋9~10月
日長が短くなり、最低気温が10℃を下回るようになってきます。暖房なしの環境だと植物の活動が緩やかになり、休眠するようになります。これまで3日で乾いていた土が1週間乾かなくなるなどの変化がみられるようになると休眠の合図です。休眠中は「根っこが乾きすぎないように維持」することが水やりの目的になります。様子を見ながら、水やりの頻度、量ともに減らしていきます。目安は、「土が完全に乾いていたら、鉢を浅い容器(バケツや洗面器など)に底から2〜3cm程度沈め、5〜10秒ほど吸水させる」です。完全に乾いたかどうかは、重さで判断する必要があるので、夏の間に「しっかり乾燥しているときの鉢の重さ」を把握しておきましょう。
暖房により「最低室温が15℃を下回らない」場合、成長自体は続けています。ただし、日長の短さにより使う水の量が少なくなるので「今までと同じ水の量」だと根腐れや徒長につながります。「土の表面が乾いてから3~5日待っての水やり」に戻しましょう。
我が家ではこの時期ストーブを炊き始めるので、室温は15℃以上にキープされています。そのため、この時期の水やりは週1回ペース(4~5月と同様)でしっかり行っています。
- 冬11~3月
日照時間が非常に短く、最低気温も5℃以下になる時期です。暖房を入れない場合、最低室温も5℃を下回る可能性があります。
サンセベリアは10℃を下回ると休眠し始め、5℃を下回ると低温障害になるリスクが急激に高まります。もし最低室温が10℃を下回る場合には水やりは一切せず断水に切り替えましょう。サンセベリアは乾燥には極端に強いので、5ヶ月水やりなしでも枯れる心配はほとんどありません。ただし、凍ってしまうような極端な低温には耐えられないので、新聞紙で包んだり、発泡スチロールで簡易的に囲ったりして、極力5℃以下にならないように保護してあげてください。
暖房などにより最低室温が10℃を下回らない場合は、9~10月と同じ対応で構いません。
この時期の我が家はストーブが1日中ついています。15℃以上の室温がキープされるため、この時期でも水やりは週1回ペース(4~5月と同様)でしっかり行っています。
使う土の種類や鉢の大きさによって、乾き方は大きく変わります。慣れてきたら、「表面が乾くまでにかかった日数と同じくらい待って水やりをする」など、自分の環境に合わせたタイミングを見つけてみてください。
肥料は必要?
サンセベリアは、乾燥地帯のやせた土地でも成長できるため、過度な肥料分は必要ありません。とはいえ、あまりにも肥料が少ないと、せっかくの美しい葉の色が薄くなったり、くすんだりしてしまう原因となります。健康的に成長させ、子株をしっかり増やすためにも、成長期である5~8月には適量の肥料を与えるようにしてください。
肥料の種類
肥料にはその成分の種類によって、有機肥料と化成肥料と呼ばれる2パターンがあります。室内で管理することになるサンセベリアに与える肥料としては、化成肥料のほうがおすすめです。有機肥料には、どうしても臭いが出やすいことや、コバエなどの虫が住み着きやすいというデメリットがあるからです。
また、肥料は固形タイプと液体タイプにも分けられます。固形タイプは、与え方が簡単で頻度が少なくて済むのが利点です。液体タイプは、毎回調整する手間は増えますが、必要な量を状況に合わせて適切に与えることができる点が大きなメリットです。
| 肥料 タイプ | 形状 | 使用用途 | 使用対象 (推奨) | 効き方 | メリット | デメリット | 代表例 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 有機 | 固形 | 元肥 | 屋外栽培 | ゆっくり | ・土の中の微生物を活性化し、土を豊かにする | ・臭いが発生する ・虫の発生源になる ・効き始めが遅い | ・堆肥 ・油かす |
| 有機 | 固形 | 元肥 追肥 | 屋外栽培 | ゆっくり | ・効き方が穏やか ・根への負担が小さい | ・臭いが発生する ・虫の発生源になる ・効き始めが遅い | ・有機ペレット肥料 |
| 有機 | 液状 | 追肥 | 屋外栽培 | ゆっくり | ・効き方が穏やか ・根への負担が小さい | ・臭いが発生する ・虫の発生源になる ・効き始めが遅い | ・発酵魚エキス液 |
| 化成 | 固形 | 元肥 | 室内外 | ゆっくり | ・無臭で虫がわきにくい | ・連続使用による土への塩類蓄積 | マグァンプK |
| 化成 | 固形 | 追肥 | 室内外 (鉢植え) | ゆっくり | ・無臭で虫がわきにくい ・鉢のふちに置くだけで手軽 | ・連続使用による土への塩類蓄積 ・水やりの量や温度により溶解速度が変わる ・溶解時に局所的な濃度が高くなり肥料焼けしやすい | ・プロミックシリーズ ・グリーンそだちEX |
| 化成 | 液体 | 追肥 | 室内外 (鉢植え) | 速い | ・無臭で虫がわきにくい ・吸収が速く効果が見えやすい ・濃度調整しやすく肥料焼けを防ぎやすい | ・連続使用による土への塩類蓄積 ・都度、希釈又は溶解が必要があり手間 | ・微粉ハイポネックス ・ハイポネックス原液 ・住友液肥 |
肥料を与える時期と与え方
4~9月の成長期に「パッケージに記載の規定倍率の2~3倍に希釈」して与えるのがおすすめです。頻度は、4~6月は水やりの2回に1回を液体肥料に、7~9月は水やりの4回に1回を液体肥料に置き換えるようにしてみましょう。早く大きく育てたいという人は、もう少し濃いめでも構いません。ただし、「濃すぎる肥料は逆効果」ということは常に意識する必要があります。あくまでも、様子を見ながら少しずつ濃くするようにし、「パッケージに記載に希釈倍率を上限」として守るようにしてください。
与える時期は5~7月の最も成長する時期です。「パッケージに記載の容量よりやや少なめ」を意識して、鉢の隅に置くようにしましょう。固形肥料には効果の持続期間も設定されています。ただ、個人的にはパッケージに記載の期間の1.5倍くらいの期間は効果が持続していることが多いと思います。5月に置き肥を与えたら、次の年までそのまま水やりだけで管理していても問題ないことも多い印象です。
置き肥は必ず「規定量の半分以下の量」にしてください。液肥は、希釈倍率を「規定の3~5倍に希釈」するようにします。液肥を与える頻度は、液体肥料のみを使用する場合と同じで構いません。(我が家はこのスタイルです。)
液体肥料を与えるときは、水やりの時と同じように「鉢全体にまんべんなくいきわたるように、鉢底から滴るまでたっぷりと掛け流す」ようにしてください。もったいないからと、ちょろちょろと与えるだけでは、効果を十分に得られない可能性があります。
この時期は、サンセベリアはほとんど成長せず寒さに耐えている状態です。基本的に肥料はなしで問題ありません。ただし、暖房等で最低室温が15℃以下にならない場合は「薄めの液体肥料(規定の5倍程度に希釈)を月に1回程度」を目安に与えてあげると元気に育ちます。
植え替えのタイミングと方法
サンセベリアは、ほかの観葉植物と比べると「地上部(見た目)の成長」は緩やかです。1年で葉が1~2枚程度しか出てこないこともあります。
ですが、土の中での動きは全く違います。サンセベリアの根は非常に力強く生育旺盛です(一部、根の成長も非常にゆっくりな種もあります)。子株を増やすときに伸ばす地中の茎(地下茎/根茎/リゾームなどと呼ばれる)の力も非常に強く、何年も同じ鉢で育てていると「鉢を変形させ、最終的には鉢を割って外に出てくる」ようになります。
そのため、1~3年に1回は植え替えてあげることが必要です。
植え替えのタイミング
植え替えは、植物にダメージを与える作業です。適切なタイミングでの植え替えは重要ですが、不要な植え替えは株を弱らせて駆らせる原因にもなります。植え替えるべき3つのタイミングを知っておいてください。
購入直後
園芸店やホームセンターで植えられている土は、「室内で管理するには水の持ちがよすぎる」土であることが多いです。また、生産者の方や販売店の店員さんがどれだけ気を付けていても「害虫が潜んでいる」可能性をゼロにはできません。そもそも鉢に植えられていない「裸苗」と言われる状態で販売されていることもあります。
そのため、自宅にお迎えした時点で「新たな土で新生活をスタートさせてあげる」のがおすすめです。
とはいえ、本来は場所の移動をする(大きく生活環境が変わる)ことがないのが植物です。生産者→販売店→自宅という長旅でサンセベリアは疲れています。自宅に迎えてから1週間程度は植え替えをせず、「この場所で育てたい」という場所で、環境に慣れさせてあげてください。(明らかに虫がいるなど様子がおかしい場合はすぐに植え替えるほうが安全です。)
冬場に自宅に迎え入れ、最低室温が15℃を下回るという場合は4月の少し暖かくなる季節まで植え替えは待ったほうが安全です。
裸苗の場合はすぐに用土に植え付けてあげて「発根」させてあげることが必要です。普段の管理よりもややデリケートな管理が必要になるので、自信がない場合は鉢に植えられているものを選ぶようにしてください。
前回植え替えてから2~3年後
品種にもよりますが、植え替えて2年もたつと「鉢の中に根がしっかり張っている」状態になります。そして3年目になるとプラスチック製の鉢の場合だと変形し始めることが多くなってきます。鉢の中で根っこが張りすぎて窮屈になる(根詰まり)前に、定期的に植え替えてあげましょう。
植え替え作業は、新芽が展開し始める4月の最低気温が15℃を下回らなくなった時期がおすすめです。植え替えにより消耗した体力をスムーズに回復できます。また、梅雨以降の植え替えは「高温多湿」により思わぬダメージが出るリスクが高まります。エアコン等で35℃以下の室温を常にキープしている人以外はこの時期の植え替えはできれば避けるようにしましょう。
暖房等で最低室温が15℃を下回らない環境であれば、冬場でも問題なく植え替えることが可能です。
害虫や病気が疑われる場合
病気や害虫が発生している状態を放置しておいてもなにもいいことはありません。症状が悪化していくばかりです。特に夏場に病気や害虫の被害が疑われる場合には、「多少環境が整っていなくても」速やかに植え替えて、薬剤処理などの対処をするようにしましょう。
冬場でも症状が進行していく場合には植え替えが必要です。最低室温が15℃を下回らない環境を作り、植え替え+薬剤処理などの対処をしてください。
植え替えの方法
植え替えは、サンセベリアを健康に育て続けるために避けては通れない作業です。基本的な手順を紹介しますので、植え替えを行うときの参考にしてみてください。
- Step 0株の植え替え準備
植え替えの1週間~10日前から水やりをストップし、用土を乾かしておくと植え替えがスムーズになります。必須とは言いませんが、できれば用土は乾かしておきましょう。
水苔など、濡れているほうが用土から取り出しやすい場合もあります。
- Step 1新しい鉢と用土の準備
まず必要になるのが、植え付けるのに必要な鉢と用土です。用土については水はけのよい土を準備してください。鉢については、株の大きさを見てバランスをとるのが基本です。
鉢選びの注意点よく言われる「一回り大きい鉢」にとらわれないように注意しましょう。大きすぎる鉢は、乾燥が遅くなって根腐れさせる原因になりえます。また、現在のサンセベリアの大きさや、今後どんどん大きくしたいか今のまま維持したいかといった育成方針によっても変わってきます。
- Step 2植え替え
鉢と土の準備ができたら、実際に植え替えていきます。
まず、優しく丁寧に今植わっている鉢からサンセベリアを取り出してあげましょう。株を手で支え、鉢の側面や縁を軽くたたいてあげると抜けやすいと思います。株自体をぐいぐい引っ張るのではなく、あくまでも鉢を動かすようにしてください。
鉢から抜けたら、古い用土を軽く落とします。この時に無理やり土を落とそうとすると根っこを必要以上に痛めてしまいます。土は優しく丁寧に取り除いてください(無機質の用土を使用している場合は、軽く振るだけでほとんどの用土が取れると思います)。用土が落とせたら、古くてダメになっている根っこや枯れてしまっている下のほうの葉をきれいに取り除いてあげましょう。
次に、新たに植える鉢に鉢底ネットを敷き、その上に用土を少し(鉢底から1~2㎝)入れます(鉢底石を入れるという方も多くおられますが、私は、無機質の用土(=非常に排水性がよい用土)を使う場合は不要だと思っています。有機質の用土を使用する場合は鉢底石も敷くほうがよいかもしれません)。
そして、先ほど取り出したサンセベリアを鉢の中央に配置し、隙間を用土で埋めていきます。無機質用土であれば、鉢の側面を軽くたたきながら用土を入れていくことで、土と根の間に隙間を作ることなく用土を入れていけます。
有機質用土の場合は鉢をたたくだけでは隙間ができやすいです。あらかじめ竹串などを根の隙間にさしておき、用土を入れる際に鉢の側面をたたくとともに竹串を軽くゆすってあげると隙間を少なくできます。
- Step 3仕上げ
土を入れ終わったら、鉢底から滴るようにしっかりと水やりをします。この時、初めは用土に含まれる粉塵や汚れが流れ出ます。流れ出る水がきれいになるまでしっかりと水を掛け流してあげてください。
- Step 4植え替え後の管理
植え替え後はサンセベリアの体力が落ちています。1週間程度は元の場所よりも少し暗め(例:窓越しの日光で育てていたのを、1週間はレースカーテン越しの光にする)で管理して、体力を回復させてあげてください。
注意すべき害虫や病気
サンセベリアは非常に強健で、害虫や病気にもかなり強い部類の植物です。ですが、これらの被害をゼロにすることはできません。もしもの時に備えて、症状や対処法も知っておいてください。
サンセベリア(サンスベリア)によく出る害虫
カイガラムシ
カイガラムシは、年間どの時期でも発生する可能性がある、サンセベリアで最も注意が必要な害虫です。特に、暖かく比較的乾燥している時期に発生率が高くなるので気を付ける必要があります。葉の付け根や根の分岐点に寄生し、養分を吸い取ってしまいます。これにより、サンセベリアの体力を奪い、病気(すす病など)を誘発することもあります。
幼虫のうちは薬剤の使用で駆除可能ですが、成虫になると白や茶色のかたい殻をかぶってしまい薬剤が効きにくくなります。見つけたら、葉や根を傷つけないように注意しながら、指や歯ブラシなどでこすり落としましょう。
ハダニ
カイガラムシとともに注意が必要なのがハダニです。こちらも、暖かく比較的乾燥している時期に発生率が高くなります。発生すると、サンセベリアの葉に寄生し養分を吸い取ります。その結果、葉にかすれて色が抜けたような斑点が出てきます。葉の表面にクモの巣のような糸状のものがついていたら要注意なのでしっかり観察し、発見したら水をしみこませた布巾などで丁寧にふき取るようにしてください。
葉のほこりなどを落とすためにも、定期的に拭いてあげると安心です。
コバエ
サンセベリアに限らず、観葉植物を育てていると、鉢からコバエがわくことがあります。コバエは湿った用土(表面から3~5㎝程度までの深さ)に卵を産みそこから発生します。特に気温、湿度ともに高い時期は要注意です。ただし、鉢表面が乾燥していて、餌となる有機物が少なければ発生するリスクは下がります。無機質の用土でサンセベリアを育てている場合にはあまり心配しなくてもいいかもしれません。
発生しても直接サンセベリアに害を与えることは少ないですが、鉢の付近を飛び回り非常に不快になります。鉢表面が常に湿っている状況を作らないように気を付けましょう。
ナメクジ/カタツムリ
梅雨時期などの高湿度かつ暑すぎない時期に発生リスクが激増します。室内管理ではそれほど発生することはありませんが、屋外(ベランダなど)にサンセベリアを置いている場合は要注意です。ナメクジやカタツムリは、葉を食べながらはい進んでいくので、表面にかじられたことによる穴や傷が残ります。ある程度成長した葉は表面が固くリスクは下がりますが、新芽は柔らかく食害されやすいので気を付けてください。新芽をかじられると成長も止まってしまいます。
サンセベリア(サンスベリア)で注意すべき病気
根腐れ
過湿(用土がいつまでもぐずぐず湿っている)による根の窒息又は糸状菌(カビ)の発生が原因で起こります。特に、15℃以下の気温の時に用土が湿り続けていると致命傷になりやすいので警戒が必要です。
初期症状は葉のハリがなくなることで、水切れと勘違いしやすく発見が遅れがちになります。この時水をやりすぎるとさらに進行し、根が黒く溶け出す症状が出ます。このころには、用土の乾き方が明らかに遅くなるので、そのような症状が見られたら一度鉢から抜いて根の状態を確認するべきです。重症になると株元がぶよぶよになり、自立できずに倒れてしまいます。
排水性の良い用土を使用し、水をあげすぎないことが最大の予防策です。
軟腐病
根や葉の傷口から細菌が侵入し、植物の組織を急速に溶かしてしまう病気です。植え替えや株分けの際に、傷口の乾燥が不十分な場合に発生しやすく、悪臭を発しながら短期間(場合によっては1~2日)で一気に株がぐずぐずになってしまいます。
植え替えなど、サンセベリアに傷をつけてしまった際には、しっかり乾燥させて傷口をふさいでから用土に植え付けるようにしましょう(過乾燥で根を傷めないようには注意してください)。
また、ハサミやナイフなどを使用する前には、「ガスバーナーで焙る」などの殺菌作業を確実に行うことも重要です。
低温障害
サンセベリアは暑さと乾燥に強い半面、寒さには強くありません。特に、低温+加湿の組み合わせは最悪です。冬は水やりを控えめにし、室温も10℃以上はキープできるような管理を心がけましょう。どうしても10℃以下になる場合は、発泡スチロールで囲ったり、新聞紙で包んだりといった防寒対策を施してください。そのうえで、完全に断水することで冬越しをさせましょう。
低温障害を疑う症例としては、葉先が半透明になる・株元が柔らかくなる・斑の部分や葉の薄い部分に斑点状の褐色のシミができるといったものがあります。これらの症状が冬場に見られたときは、水やりをストップして暖かい場所に移動させてあげましょう。
すす病
カイガラムシなどの害虫が葉につくと、直接的な被害だけでなく排泄物による病気の誘発も起こります。その代表例がすす病です。すす病になると、葉が黒く煤けたようになり光合成ができなくなります。結果として、サンセベリアの体力が落ちてしまいさらなる病気や害虫の被害を受けやすくなります。特に、細菌系の病気は厄介です。菌そのものは植物と共存しているため、株の体力が落ちると一気に発症につながりかねません。風通しを意識しつつ、害虫を発見したら即駆除することで、スス病の発生を予防しましょう。
褐斑細菌病
葉に「水がしみたような斑点」ができてくるのが褐斑細菌病です。原因となる菌はもともとサンセベリアと共存していることもあります。葉に水滴がついていたり、多湿な空気が滞留していたりすると発生しやすくなります。風通しを良くし、日ごろから「葉水をしない管理」をしておくことで発症を防ぎましょう。
発症してしまった場合には、清潔なはさみなどで早めに切除することで対処してください。
サンセベリア(サンスベリア)を育てていて起こりやすいトラブル
サンセベリアは、丈夫で手のかからない「育てやすくてオシャレ」な観葉植物です。とはいえ、育てていく中でトラブルに出会うこともあります。ここでは、サンセベリアを育てていく中でありがちなトラブルについてみていきたいと思います。
葉が横に広がり倒れてきた
何年かサンセベリアを育てていると、葉が伸びすぎて自力で支えることができずに横に倒れてきてしまうことがあります。これは多くの場合、日光の量が足りずに葉がひょろひょろと細長くなってしまった(徒長した)ことが原因です。一度徒長してしまった葉は元には戻らないので日ごろからの注意が必要です。
特に、葉の形が円柱状や舟状の種は徒長させてしまうと非常に不格好になり観賞価値も著しく低下します。伸びた葉を切り取ったとしても全体のバランスが大きく崩れ、やはり不格好です。明るい場所で管理する、定期的な日光浴を怠らないといった基本的な管理を徹底することで予防しましょう。
また、肥料のやりすぎによる栄養過剰の場合にもこのような症状が出ることがあります。十分な明るさの中で肥料をたくさん上げていたという場合には、肥料を与える量を減らしてみましょう。
株元(葉の付け根)が柔らかくなっている場合は何らかの病気である可能性が高いです。土や根の状態を確認し、必要な処置をしてあげてください。
葉の色が薄く(黄色く)なってしまった
サンセベリアの緑色が薄くなってしまう原因は日光不足や肥料不足、根腐れです。
葉の色が黄色くなってきたら、まずは日光不足を疑い明るい場所に移動させてあげましょう。光量不足のままにしておくと、徒長の原因にもなります。徒長とは異なり、葉の色は光を十分に与えることで元に戻ります。「少し葉っぱの色が薄くなったかな?」と思ったら早目に対処しましょう。
光の量が十分にもかかわらず、このような症状が出てきた場合には「加湿(水のあげすぎ)による根腐れ」を疑いましょう。根が傷んできたことで水や肥料をうまく吸えずにこのような症状が出ていることが考えられます。乾燥気味に管理することで回復することもありますが、根腐れは放置してしまうとどんどん進行していきます。一度鉢から取り出して根の状態を確認してあげるのが確実です。
光が足りていて、根腐れもしていない場合は肥料不足です。これまでよりも少しだけ肥料を増やしてあげてください。多すぎる肥料は逆効果になるので、あくまでも少しだけ増やすようにしましょう。
枯れてしまった
サンセベリアが枯れてしまう原因はいくつか考えられますが、最も可能性が高いのは水のあげすぎです。サンセベリアはもともと乾燥地帯が原産で、少しの水でも元気に育ちます。逆に、過剰な水やりは根腐れによる枯につながります。特に冬場は要注意です。常に乾燥気味の水やりを意識し、根が加湿にならないように育ててあげてください。
また、冬場に低温障害が出たり、肥料のあげすぎが原因で根腐れ(肥料焼け)を起こしたりして枯れることもあります。
10℃以上の室温をキープしつつ、手をかけすぎないことがサンセベリアを枯らさないポイントです。
サンセベリア(サンスベリア)の増やし方
サンセベリアの増やし方には、①実生(種を取って育てる) ②葉挿し ③株分け の3つの方法があります。ですが、サンセベリアの花を咲かせて種を取るには、株をしっかりと充実させたうえで環境をきっちり整えることが必要です。一般家庭でこの方法でサンセベリアを増やすのはあまり現実的とは言えません。(インドや東南アジアではこの実生により、新たな交配種がどんどん作られているので、自信のある方は挑戦してみるのもいいと思います。)
ここでは、「現実的で比較的容易にサンセベリアを増やすことができる」方法である、葉挿しと株分けについて紹介します。
どちらの方法も、4月後半~7月下旬までが最適な期間です。8月でも作業自体は可能ですが、その後気温が下がるまでの期間が短いので、避けるほうが無難です。特に葉挿しは、8月から作業すると、本格的な植え付けが10月後半以降になってしまい、休眠期に入ってしまう可能性がでてきます。
葉挿しで増やす方法
サンセベリアは、土や水に葉を挿しておくことで増やすことができます。発根、成長にはやや時間がかかりますが、「1枚の葉から複数の新たな株を増やすことができる」、「変異と呼ばれるもともととは違う性質をもった株が生まれる可能性がある」といったメリットがあります。作業自体はそれほど難しいということはないので、初心者の人でも安心して挑戦できます。
- Step 1もとになる葉の準備
健康である程度の大きさのある葉を選び、根元から切り取ります。切り取った葉は5~10㎝程度の長さで切りそろえてください。この時、上下が分からなくならないようにマジックやマスキングテープで印をつけておきましょう。
- Step 2傷口をふさぐ
葉を切りそろえたら、風通しの良い日陰で切り口を乾燥させます。風通しが悪いと腐敗につながり、直射日光に当ててしまうと葉全体の水分が抜けすぎてしまうので注意してください。この乾燥が甘いと、植え付け後に傷口から雑菌が侵入し、腐敗してしまう原因となります。しっかりと乾燥させることが重要です。乾燥の目安は1~3日程度です。1週間以上乾かしてもサンセベリアが枯れることはありませんが、発根しづらくなるので乾かしすぎは禁物です。
- Step 3葉を挿す
浅めの鉢やプランターに用土を入れ、カットして乾燥させた葉を「上下の向きに注意して」挿し込みます。使用する用土は、赤玉土(細粒)などの「肥料分の入っていないもの」にしてください。用土に挿すのは、葉の根本側(下側)を2㎝前後です。挿す向きを間違えると発根も発芽もしないので、向きは絶対に間違えないようにしましょう。植え付け後は「風通しの良い直射日光が当たらない明るい場所」で管理します。植え付け後すぐに水をあげる必要はありません。
水挿しで発根させる場合は、瓶やカップなどに「上下の向きに注意して」並べ、水を2㎝程度入れてください。水の量が多すぎると、発根せずに腐る可能性が高くなります。
- Step 4発根の管理
土に挿した場合は植え付け後2~3日経ったら水を軽く与えてください。用土が軽く湿ればOKです。その後は、用土が完全に乾燥しているのを確認できたら用土が軽く湿る程度の水やりを繰り返します。1週間~10日に一度程度が目安になると思います。
水挿しの場合は、季節にもよりますが「減った分だけ水を足す」を基本に、「週に1~2回新しい水に交換する」ようにしてください。あまり水を頻繁に交換しすぎると発根が遅くなります。水が腐敗しない最低限の水交換を意識してください。
どちらの場合も、1~3ヶ月で発根、新芽の展開が確認できることが多いです。
- Step 5最終定植
新芽の展開が確認できたら、本格的に栽培する鉢と用土に植え付けてください。
用土で発根させた場合は通常の水やり管理でOKです。水挿しで発根させている場合には、「水が多いのを好む根」になっています。植え付け後しばらくは通常よりも多めの水やりで管理するとスムーズに用土に移行できます。
斑入りの種を葉挿しで増やすと、「ほぼ間違いなく斑は受け継がれません」。斑入りのまま増やしたいという場合は「株分け」で増やす必要があります。
株分けで増やす方法
株分けは、地下でつながっている一つの株を2つ以上に切り分ける作業です。葉挿しと異なり、根を付けたままの状態で移植することができるので、成功率が非常に高いのがポイントです。植え替えの時に、セットでやってしまうと効率的ですね。(発根の状況によっては、株分け後の子株は裸苗になることもあり得ます。)
- Step 0株分けの準備
株分けの1週間~10日前から水やりをストップし、用土を乾かしておくと株分けがスムーズになります。必須とは言いませんが、できれば用土は乾かしておきましょう。
水苔など、濡れているほうが用土から取り出しやすい場合もあります。
- Step 1新しい鉢と用土の準備
まず必要になるのが、新たに植え付けるのに必要な鉢と用土です。用土については水はけのよい土を準備してください。鉢については、株の大きさを見てバランスをとるのが基本です。
鉢選びの注意点株分け後は元の株よりも小さな株になり、根の量も少なくなります。「小さめの鉢」を意識して選ぶようにしましょう。
- Step 2鉢から取り出す
鉢と土の準備ができたら、実際に株分けの作業をすすめていきます。
まず、優しく丁寧に今植わっている鉢からサンセベリアを取り出してあげましょう。株を手で支え、鉢の側面や縁を軽くたたいてあげると抜けやすいと思います。株自体をぐいぐい引っ張るのではなく、あくまでも鉢を動かすようにしてください。
鉢から抜けたら、古い用土をしっかり落とします。この時に無理やり土を落とそうとすると根っこを必要以上に痛めてしまいます。土は優しく丁寧に取り除いてください。
- Step 3根の整理
用土が落とせたら、古くてダメになっている根っこや枯れてしまっている下のほうの葉をきれいに取り除いてあげましょう。ある程度根が整理できたら、用土を完全に落とすためにやさしく水洗いします。
この作業の時にある程度元気な葉を数枚とっておくことで、葉挿しを同時に進めることも可能です。どれくらい増やしたいか、に応じて同時にチャレンジするのもありだと思います。
- Step 4株を分ける
株がきれいになったら、「しっかりと消毒、殺菌をした、切れ味の良い刃物」で子株を親株から切り離します。切る位置は「地下茎の親株ぎりぎりのところ」です。子株のほうに地下茎を多く残すことで、その後の成長に必要なエネルギーを子株により多く受け継がせることができます。
子株の切り取りができたら、新たに植え付ける予定の鉢と合わせながら、地下茎の長さを「鉢に入るギリギリ」まで短く切り詰めます。切り詰める量は、あくまでも最小限にとどめるようにしましょう。
- Step 5傷口をふさぐ
親株と子株の切り分けができたら、傷口から菌が入るのを防ぐために傷口をふさぎましょう。もっとも単純な方法は半日から1日、風通しの良い日陰で乾燥させることです。これにより傷口にかさぶたが作られます。注意点は、根っこは乾燥が嫌いということです。あまり長い時間乾燥させてしまうと、せっかく生えていた根っこが乾燥でダメになってしまうので、乾燥させすぎないように注意しましょう。
傷口が大きい場合には、市販の癒合剤(トップジンなど)を使うのもありです。
我が家のやり方を紹介我が家では、株分け後の切り口を「アロンアルファ」でふさいでいます。切り口に薄くアロンアルファを塗り、霧吹きで水をかけると白く固まりかさぶたを作ることができます。乾燥させる時間をとる必要がないので、この方法だと根への負担は最小限にできます。
様々な方のブログやYouTubeでも、このアロンアルファを使う方法は紹介されています。実際に私もやっていて今まで植物に異常が起きたことはありません。
ただし、「本来の使い方」ではないので、何かあってもあくまでも自己責任ですのでご注意を。
- Step 6植え付け
植え替えの時と同じように、植え付けます。水はけのよい用土を使用するようにしてください。
- Step 7仕上げ
土を入れ終わったら、鉢底から滴るようにしっかりと水やりをします。この時、初めは用土に含まれる粉塵や汚れが流れ出ます。流れ出る水がきれいになるまでしっかりと水を掛け流してあげてください。
- Step 8株分け後の管理
株分け後は単純な植え替えの時以上にサンセベリアの体力が落ちています。1週間程度は元の場所よりも少し暗め(例:窓越しの日光で育てていたのを、1週間はレースカーテン越しの光にする)で管理して、体力を回復させてあげてください。
子株には斑も受け継がれることが多いです。とはいっても、絶対ではありません。斑入りの親株から斑のない子株が出てくることもあります。
斑なしの子株が出てきたら、早めに株分けをして次の子株に期待するようにしましょう。
インテリアにも映える!サンセベリア(サンスベリア) との暮らしを始めよう
サンセベリアは
- 乾燥に強い
- 耐陰性が高く、置き場所の幅が広い
- 成長が比較的ゆっくりなので、おしゃれでカッコいい姿を維持しやすい
といった、インテリアプランツとしてとても優れた性質を持つ植物です。サンセベリアは、ちょっとしたポイントを押さえるだけで初心者にも育てやすいだけでなく、葉姿や模様のバリエーションが豊かでお気に入りを見つける楽しさもあります。
ぜひお気に入りの一鉢を手元において、ゆっくりと元気に育っていく姿を楽しんでください。
サンセベリア以外の我が家で育てている植物についても、基本的な管理方法を紹介しています。良ければ以下の記事も確認してみてください。






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